昨日の宮城県石巻市のご報告に引き続き、南三陸町の桜の状況をご報告いたします。

石巻市から車で沿岸部を移動し南三陸町に到着したのは暗くなってから。桜の植樹を行っている南三陸ホテル観洋さんにお世話になり、素晴らしい露天風呂に。翌日の2019年4月15日(月)朝9:00前に南三陸町戸倉波伝谷地区に向かいまいした。

南三陸町戸倉波伝谷地区

波伝谷。”波を伝える谷”と書く地名のこの地区も文字通り津波がこの谷を襲いました。下記の桜を植樹したすぐ下まで海水に埋まってしまった所です。戸倉神社がある波伝谷地区は80世帯が津波で全壊。集落そのものが失われてしまいました。

桜の植樹からいろいろな出来事のあった地区でもあります。

参考ページ<波伝谷地区の植樹と奇跡のような人と人との繋がり>
http://sakuranamiki.jpn.org/archives/3139.html

この地にはじめて桜を植樹したのは、7年前の2012年4月8日。2012年に20本、翌年2013年にも29本の桜を植樹しました。通常当会で植樹している桜は1年生の苗木ですが、この場所には3年生の中木が15本ほど植樹されています。

この日の桜はほとんどが蕾で一部開花がはじまったばかり。どの桜も順調に大きく育っていました。しかし、その中で一本だけほぼ満開になっていた桜がありました。7年前植樹した3年生の中木です。

大きく育ち美しい花をたくさん咲かせた生まれて10年目の桜の木。下の写真、左が植樹した3年生の苗木。その年の夏にメンテナンスに伺った時の写真です。右が生まれて10年目の今年の桜。優しく可憐なエドヒガンの花。

幹もしっかり。太さは20センチくらいになりました。

そしてもう一本貴重な桜が。もしかしたら当会で植樹した中でも、一番大きく太い幹を持つ桜なのではないかと思っているのが下の桜。(比較の為、人物入りで^^;)蕾をたくさんつけ、開花までにはもう少し時間かかりそうなこの桜も上記の桜と同じ時に植樹した3年生の中木ですが生育っぷりが圧倒的に違います。

寄贈された支援者さんは、毎年波伝谷地区のこの桜に会いにこの地を訪れていました。
桜にも一本一本個性があります。

南三陸町「海の見える命の森」

 「しかるべき高台に移転し、海を見て花を植え、木を植えて海とともに生きる。」

2012年にはじめてお会いした時に、語り部後藤さんがおっしゃっていた言葉です。

「海の見える命の森」プロジェクトは、震災を通じて『学んだ事』『後世に伝えねばならない事』『祈りたい事』『残したい風景』を伝える場所にするために2016年にスタートしました。2年前の2017年43本の桜を植樹しプロジェクトに参加。

伝承慰霊・観光誘致・自然学習・緊急避難場所の4つのビジョンが整ったプロジェクトで、犠牲になってしまった842名と同じ数の桜の植樹を目指して今後も長期にわたり協働していく予定です。

参考記事
2019年植樹報告:宮城県本吉郡南三陸町「海の見える命の森」
http://sakuranamiki.jpn.org/archives/13044.html

ここではほとんどの桜が植樹したばかり。まだ小さくかわいい木にそれでも、花をつけた桜がちらほら。植樹して2年目の桜です。

多くの支援者様・企業様にもご参加いただいているこのプロジェクト。以前皆様にもお知らせして「#おかえりHIKKI」タグでご協力いただいた「宇多田ヒカルNEW-turn Project」で植樹された桜もかわいい花を咲かせていました。

南三陸町「海の見える命の森」は、この森を訪れる方々のために整備を進めているところでバイオトイレや小屋も建設予定です。いつの日か桜に会いに伺った時にも、ちょっとホッとできる場所があると嬉しいですね。

現在、この地に東日本大震災の慰霊と教育の場所として、ランドマークとなる小屋を造るため、クラウドファンディングを行っています。是非ご参加・ご協力をお願いいたします。

クラウドファンディングお申込\東日本大震災の慰霊と教育の場所として、ランドマークとなる小屋を造りたい

南三陸町志津川清水浜

「海の見える命の森」を出発して、11:00頃。南三陸町志津川清水浜に寄らせていただきました。地権者さんはお仕事でお留守との事でしたが「どうぞ見て行ってやってください」とおっしゃっていました。

清水浜の桜はほとんど蕾。写真の場所から高台の急斜面に約190本の桜が植樹されています。それでも一部の桜が咲いていました。清水浜については以下の記事をご参照ください。

2014年夏 南三陸町・清水浜 メンテナンス報告
http://sakuranamiki.jpn.org/archives/4962.html

今回の三陸の旅もどこも復興工事の真只中。この清水浜の近辺の様子も変わりました。

下の左の写真が植樹時の様子で右が今年の写真。

背景にある”清水浜駅”が、しばらく津波に襲われた当時のままの状態でした。今年伺ったら工事により整備されていました。

桜はほとんどがすくすくと成長していました。もう数年たった頃には見事な景色になるかと思います。またその時に伺いたいと思います。

南三陸・後記

刻々と変わる被災地の状況。
しかし、お会いした皆さんが未来に向けて頑張っていらっしゃったのがうれしく印象的でした。

大型ゴールデンウィーク。桜は花びらが舞い出し八重桜が咲く頃かと思います。美しい志津川湾の海の恵みのおいしい南三陸へいらっしゃってみてはいかがでしょうか?

2019年4月15日のお昼前。蕾の桜達にうしろ髪を引かれながら気仙沼に向かいました。東京に戻って2019年4月18日(木)南三陸町の桜が満開になったとのご報告をいただきました。(来年のために記録!元号が平成から変わってもわかりやすいよう西暦で)