東北に行かなくても出来る桜の支援とホットニュースNPO法人さくら並木ネットワーク

Posted on 2016年3月22日2016年3月22日 by sakuranamiki network

3月22日。東京では桜の開花宣言がありました。
もうすぐ春本番。桜の美しい季節がやってきます。

そんな中、「少しでも東北に植樹する桜に役立てていただきたい。」と、様々な形でさくら並木プロジェクトにご協力をいただいています。この皆さんの活動に関し、当会共同代表の一人・小池が、自身の会社で発行している花の情報誌「ホットニュース」のコラムの中でご紹介させていただいたので、全文を掲載させていただきます。

ホットニュース20160318

株式会社フローレ21　発行　2016 年03 月18 日号 No358　より

　
社長小池潔のあれこれコラム　「意識の風化」

「さくら並木ネットワーク」の活動を続ける中で一番の障害は5 年前、東日本を襲った大震災に対する人々の意識の風化である。

「二度とこのような悲しみや苦しみを味わってはいけない」。思い起こせば5 年前、大震災が起こった直後、週末になると、被災地には1 万人もの人がボランティアとして活動をしていた。しかし1 年もたたないうちにその数は十分の一になり、5 年たった現在では１％にも満たないほどである。

東北三陸地方での津波は何度も何度も繰り返し大きな被害を人々に与え続けてきた。そのたび被害の風化など二度とさせないと心に誓う。５年目の今年の３月はその「心に誓った」風化させないという人々の意識が思いのほかよみがえった。

「さくら並木ネットワーク」にも今までにない支援のお申し出が続いた。高島屋では半月にわたって東京を中心として９店舗で被災地の支援「明日へのエール」と題したイベントを組んでいただいた。特に日本橋本店と新宿店では「さくら並木ネットワーク」を全面に押し出していただいた。

６年間音楽活動から遠ざかっていた「天才歌姫」と言われた宇多田ヒカルが帰ってくる。母の死を乗り越え、イタリア人との再婚、子どもの出産など大きく人間的成長をした宇多田ヒカルがみられる。「被災地にもボランティア活動で行きたい」と言っていた彼女の再出発をプレスリリースしたのが３月１０日だった。亡き母に伝えたい「今になってありがとう」と「被災地への支援」これが宇多田ヒカルの人間的成長の証なのでしょう。宇多田ヒカルの所属プロダクション「ユニバーサルミュージック」や第一興商など数社が「NEW-TURN プロジェクト」を企画する。特設ページ上で宇多田ヒカルの関連商品を購入するとページ上の桜の木が咲いてくる。宇多田ヒカルが望んでいた多くの人と接したい、被災地への支援をしたい。この宇多田ヒカルの思いは「さくら並木ネットワーク」へと続く道だった。

３月１７日の日本経済新聞で住友不動産の「さくら並木ネットワーク」への支援を取り上げた記事が記載された。この支援も被災地を忘れない、人々の記憶を桜並木に託す取り組みである。

マスコミや企業が「震災を風化させてはならない」という取り組みは大変意義のある活動です。しかし３月を過ぎるとまた被災地の風化が始まる。「天災は忘れた頃にやってくる」と言ったのは明治の物理学者寺田寅彦により生み出された言葉だそうだ。

私たちのさくら並木ネットワークの原点も大震災を風化させない、世代を超え伝え続けることである。１万９千人を超える行方不明者と死者。しかしその後ろには、この数十倍の苦難を背負った人たちがいること、福島では故郷を捨てなければならない人たちがいること。

「人は忘れる生き物である」とのことわざがあるが、何かの折にはこれらのことを思い起こしてほしい。

「二度とこのような悲しみを味わわずに済むよう」そのための活動を続けている団体がまだ存在することも。