2019年4月15日17:00すぎ。三陸沿岸道路が開通したおかげでかなりスムーズに岩手県下閉伊郡山田町の桜山に到着しました。しかし、夕刻。少し桜を拝見して翌日の16日の早朝再び伺いました。
山田町の桜達と状況
山田町の桜はほとんどが蕾で、一部開花を始めたばかり。昨年より少し開花が遅い様です。
昨年の報告記事
http://sakuranamiki.jpn.org/archives/12192.html
蕾ばかりの桜の中、開花していた桜も。
2013年4月6日。震災から2年目の山田町で初めて桜の植樹を行いました。はじめて植樹したのは「グリーンハートやまだ」藤原さんの山と隣接する社会福祉法人親和会様の土地。その後、山田町の賛同を得て広大な土地に824本の桜を植樹する事になりました。
はじめての植樹式は、親和会様の保育園や施設の建設予定地で行われ、当時の保育園の子供達も参加。上の開花した桜は、この時の桜ではないかと思っています。桜の横には保育園が新設されています。
可憐で美しい花を咲かせていました。
故 柳生真吾さんが行った「スイセンプロジェクト」で植えられたスイセンはかなりの勢いで増えて、足元を見て歩かないとうっかり踏んでしまいそうになるほどそこかしこから新しい芽を出しどんどん広がっていました。
藤原さんと息子さんは日々この山に入り、草刈りを行い、一本一本の桜の生育状況を確認し、遊歩道や足場を作り整備されています。遠方から桜に会いに来られた方が少しでも桜を探しやすい様に考えてくださっています。山田町の方々も夏場の草刈りなど、町ぐるみで行ってくださっています。
順調に育つ桜達。ほとんどが蕾でしたが咲いていた数本の写真を。
このあと藤原さんと一緒に、この桜山から少し離れた場所にある「社会福祉法人親和会」さんへ、ゴールデンウィークに山田に伺う予定の支援者さんの桜を探しに伺いました。三陸鉄道・リアス線が3月23日に開通。その場所は桜山から陸中山田駅を越えた先になります。復興工事が進む山田町を電車と並んで走りました。
山田町の植樹地はこの駅から車で10分以内で行くことが出来ます。今まで公共交通で行くことは大変でしたが駅からタクシーで伺えるようになりました。
美しい海が一望できるその場所に、探していた桜はありました。
たくさんの蕾を付け元気に育つ桜。
山田町の桜に会いに行かれる時は・・・
2019年春。事務局には、東北の桜に会いに行かれる計画のある支援者様から多数のお問い合わせがありました。山田町にも何名かの支援者さんがいらしたそうです。
地権者の藤原さんから素晴らしい出会いのお話をお伺いしましたのでお伝えしたいと思います。
群馬県から岩手県の山田町へ
2019年4月23日頃の事。桜基金にご参加いただいているあるご夫婦が群馬県から山田町の桜に会いに見えたそうです。2014年と2016年に桜を一本づつ植樹してありました。
山田町には824本の桜が植樹されています。その中から桜を見つけるのは難しい場合が多々あります。事前にお問合せを頂いた場合は、藤原さんが時間のある時に探しておいてくださる事もありますが、この日はいらっしゃる事を伺っていませんでした。
2014年植樹の1本はご自身関係の銘板名で、2016年に植樹したもう1本の桜には亡くなられた息子さんの名前が刻まれていました。
「自分の分はいいんです。息子の桜は何とか探したい」
藤原さんは、銘板名を聞いて見覚えがあった様な気がしたけれどうろ覚え。ここには824本の桜が植えられているので一本ずつの銘板を覚えるのは不可能。しかしすーっと導かれるように山に入ったそうです。
するとそこに息子さんの桜がありました!
しかも、山田町の桜山の中でも自然豊かでそこかしこにカタクリやすみれの花が咲き小川のせせらぎが聞こえる場所に。
ご夫婦は「こんなに豊かな場所にあったのですね!」と、感動されて桜のまわりをきれいにしたりしながらしばらく息子さんの桜そばにいらっしゃったそうです。花はまだだけれど太い幹を持ちすくすく育った元気な桜だったそう。
藤原さんは「銘板の名前を聞いた時はどこかで見た気がした位だったけど、なんか引っ張られている様な気がしたんだ」とおっしゃっていました。そして、群馬県からさくらに会いに山田町までいらして下さった事をとても喜ばれていました。
山田町には、日本の貴重な桜の種から育った「実生の桜」が何本か植樹されています。息子さんの桜はその中の一本、岐阜の「薄墨桜」の実生の桜だったとの事。
山田町では、桜が繋ぐたくさんの感動的な出会いやご縁が生まれています。
お願い
山田町の桜山は、ゴールデンウィークの新緑、夏の濃い緑と美しい海と心地良い海風、秋の紅葉も素敵な自然豊かなところです。是非、桜や優しい山田の方々に会いにいらしてみてください。きっと大切な何かが見つかります。
そして、山田町に伺う際は、お気軽に事務局にご一報ください。山田の方々も喜ばれます。広い桜山で桜と銘板(ネームプレート)を探すことが出来るかもしれません。
数年に一度でも、日常を離れて東北に。
日々刻々と変わる被災地の状況。素敵な出会い。年々大きく育つ桜達。ご家族やご友人の方々にお伝えいただく事で、美しい東北を襲った津波の記憶を未来に伝承する事にも繋がります。