震災から5年が過ぎ、震災の記憶の風化が懸念されている現在。さくら並木ネットワークでは、学校教育における伝承の桜の植樹、子供たちへの防災教育の一環としての桜の植樹を積極的に行っております。あの震災を経験した子供たちがその地域の教育機関を通じて、未来の同地域の子供たちに、その記憶をリアルタイムで残す事ができるのは今をおいて他にはありません。当会では今後も重要な桜植樹事業のひとつとして教育現場での植樹を行ってまいります。2016年春の最後の植樹も、そんな植樹になりました。

遅くなってしまいましたが、4月中旬に行われた二つの学校での伝承の桜の植樹をご報告いたします。

岩手県宮古市 藤原小学校

昨年の末頃、さくら並木ネットワーク事務局に一本のお問い合わせのお電話がありました。横浜市立戸部小学校6年生の担任の先生からのお問い合わせでした。

横浜市立戸部小学校6年生の生徒さんたちは、総合学習の授業を通じて津波の被害のあった宮古市の藤原小学校の6年生と交流があり、生徒さんたちが集めた募金で、震災当初1年生だった6年生の卒業にあたり、桜を贈れないか検討しているとのお話でした。でも「桜の植樹とは?どうしたら良い?」。苗木や土壌の事、桜基金の仕組みや植樹はどうやって行うか等、生徒さんたちの質問にひとつひとつお応えしながらお話を進め、一方では宮古市藤原小学校先生方ともご相談をさせていただきました。

そして、ご相談の結果、戸部小学校6年生の生徒さんたちが集めた募金で藤原小学校に1本の桜を贈る事になりました!
しかし、植樹の予定は4月の中旬。交流を続けていた6年生は、中学に進学しています。

4月13日。夕方16:00頃、中学校の授業や部活を終えた元6年生の生徒さん10名が、藤原小学校に桜の植樹に駆けつけてくれました!

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早速、植樹を開始。

中学の制服も初々しい生徒さんたちが横浜市立戸部小学校6年生の皆さんの想いを込めた津波を伝承する桜を植樹し、「平成27年度戸部小と藤原小の絆」と刻まれた石版を設置しました。

生徒さんたちはこの桜を思い出すたびに、それぞれの学校の事、その時の想い、そして震災の記憶を後世へ伝え続けてくれる事でしょう。横浜市と宮古市の小学生の頃からの繋がり。この素敵なご縁がいつまでも続きますように。

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岩手県宮古市田老町 田老第一小学校

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4月21日、岩手県宮古市田老の田老第一小学校で校庭に津波襲来を伝える一本桜の植樹が行われました。

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学校創立140周年と校庭のすぐ手前まで押し寄せた津波とその後の復興を伝える為に校庭に一本桜を植えたいと二年越しで計画してきました。この日、児童、保護者、教諭などにより津波てんでんこの文字が刻まれた石柱と共に植樹されました。寄贈は東京のメンネルコールけやき男声合唱団様。

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どうしたらこの後の街と世代にこの津波の事を正確に伝える事ができるのか?
これからが正念場と言えます。

この田老地区では本格的な高台移転が始まりました。
来年は当NPOでも積極的に新しい街づくりにおける防災伝承に関わって行きたいと考えております。

2016年春植樹終了のご報告と御礼

2016年4月21日。岩手県宮古市田老町 田老第一小学校の植樹で、2016年春の植樹がすべて完了いたしました。

植樹地の調整や造成、準備の段階からご協力いただいた皆様、そして植樹に参加・ご協力をいただいた現地の皆様、ボランティアの皆様、関係者の皆様、そしてあたたかいお気持ちを寄せご支援・ご協力くださった賛助会員の皆様・桜基金にご参加いただいている皆様、ご寄付をお送りくださった皆様、関係各社の皆様、

心より御礼申し上げます。

今後、夏にかけて植樹した桜の成長状況を確認しながら、草刈等のメンテナンスを行い皆様の銘盤の設置作業を行ってまいります。年内にはご報告書がお手元に届けられるよう準備を進めてまいります。

また、併せて来年春の植樹の調整も行ってまいりますので、被災地域で津波を伝承する桜の植樹をご希望の方々はご遠慮なく事務局までお問い合わせください。

皆様、今後ともご支援・ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。