今春の新しい植樹地が決まりましたのでお知らせいたします。

宮城県石巻市大谷川地区

宮城県石巻市の牡鹿半島はリアス式の複雑な地形のため多くの浜があり、各浜ごとに集落(地区)が構成されております。さくら並木ネットワークはそんな各浜の皆様から桜植樹依頼を受け数年前からかなりの本数の桜を牡鹿半島に植樹しています。

このたびご縁があり今春の桜植樹が決まった大谷川地区もそんな集落の一つです。大谷川地区は女川町から牡鹿半島の大原浜地区をつなぐ県道41号線のちょうど中間あたりにある地区です。鮫浦湾の一番奥に位置し全30世帯約100人が住んでいた集落でした。

しかし2011年3月11日の東日本大震災の大津波により大谷川地区はほぼ全壊。海からやってきた津波の膨大なエネルギーは鮫浦湾に一極集中し津波の最高点は20~30メートルだったと推定され(東日本大震災でリアス式海岸を持つ三陸地方(宮城県沿岸北部から岩手県沿岸部)の津波最高点が平野の沿岸部より高いものだったのも同じ理由になります)、津波が引いたときは全く何もないという状態でした。

現在の大谷川地区は約三分の二の世帯が地区を離れざるを得なくなり(これは大谷川地区周辺の集落も同じ状況のようです)、約三分の一が高台移転を決断した世帯となっており、今春さくら並木ネットワークが植樹するのもこの大谷川高台移転地となります。

大谷川高台移転地は目の前に穏やかで美しい鮫浦湾が見え、ここだけを見るとこの湾が大谷川地区に甚大な津波被害をもたらしたことを忘れそうになりますが…。

しかし目をすぐ横にずらすと大谷川住民の皆様が暮らしていた場所は防潮堤建設や区画整備などがいまだ行われており、これらの工事がすべて終了するのはあと数年はかかります。高台移転が終わってからといって決して大谷川地区から津波の物理的な傷痕がすぐに消えるということではないのです。

大谷川高台移転地に移り住む住民の皆様は悩みに悩んで大谷川地区に残ることを決断した方達です。まだまだご苦労は多いと思いますが、さくら並木ネットワークは今春に大谷川地区の皆様が少しでも将来の春の楽しみができるよう心を込めて植樹をしたいと思っております。

そんな大谷川地区とさくら並木ネットワークにご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。