2014年2月26日。2014年度の春の植樹がスタートいたしました。

今年は昨年に比べ被災地の状況も変わり、昨年を上回る本数の桜の植樹希望が届いております。しかし、その地域や地区により被害の状況も異なり、それぞれ想いがあります。

さくら並木ネットワークでは、現地の方々の想いに出来るだけお応えしながら、現地の状況に合わせ植樹の調整を行っております。植樹報告と共にそれぞれの地区の皆さんの思いもお伝えできましたら幸いです。

2月26日(水)石巻市荻浜小学校・石巻ひがし保育園

今年最初の桜植樹が2月26日から始まりました。
午前中は石巻市荻浜小学校。午後は石巻ひがし保育園で植樹。

石巻市荻浜小学校

荻浜小学校は牡鹿半島にあります。生徒は現在4名。
今年の春に卒業する3名と転校する子がいますので、今年から約4年間休校となります(その間の学校は地区管理となります)。今回はその子供たちに良い思い出となるようにと地区からの要請で植樹が行われました。

午前10時20分から植樹開始。
女の子ばかりですが、みんな元気で明るい植樹式となりました。彼女たちが将来学校を訪れるとき。そしてまたあらたな子供が荻浜小学校に入学するとき、そこに満開の桜が咲いていればいいですね。

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石巻ひがし保育園

午後は石巻市渡波地区の石巻ひがし保育園へ。

石巻ひがし保育園は、津波の影響で渡波地区に保育園がなくなってしまい若い住人がいなくなってしまうのではないかと危惧した洞源院の住職さんが建設している保育園です。
洞源院さんには以前さくら並木ネットワークバスツアーで世話になりました。

植樹している間も建設工事真っ最中で子供たちもまだいません(今年の春開園予定です)。まだ桜が大きくなるまで時間はかかりますが、将来渡波地区の子供たちを迎え入れる元気な桜に育ってもらいたいですね

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2月28日(金)石巻市荻浜中学校

石巻市荻浜小学校に続いて今日は荻浜中学校の植樹が行われました。

牡鹿半島にある荻浜中学校は海岸の真ん前にある中学校です。震災当時津波は体育館と技術室を飲み込みが校舎だけはとりあえずは無事でした。しかし荻浜小学校は陸の孤島のようになり、数日後にやっと親御さんたちは船で生徒を迎えに行ったそうです。今回植樹に参加してくれた三年生がちょうど入学する前に津波がきたということになります。
当時はとても大変だったそうです。

今回はその三年生が卒業することを記念して行われました。植樹に参加してくれたのは、三年生3人、二年生3人、一年生3人の全9名。植樹が行われた今日の午後はとても海風が強く寒かったですが、みんなとても元気に作業してくれました。荻中の子供は強いですね!!

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そして作業が終わったあとに当会スタッフとみんなで約束。
●三年生はいい高校生活を送って数年後大きくなっている桜を見に来ること。
●そして一、二年生は卒業するまでこの桜を見守り続けること。
…常に未来ある子供たちとは前向きな約束をしたいものです。

帰り間際に校長先生と教頭先生にお茶をいただきました。過疎化が進み生徒が少なくなりいろいろな問題が出てきているそうです。集団スポーツの部活が思うようにできないとかですね。でも少ないなりにいい学校生活はできるはずだともおっしゃっていました。

少なければそれはそれで一人一人の友情だって深まるはずです。震災当時一階部分まで津波に飲み込まれた体育館の二階にはこういう文字が書かれていました。

「見せよ!!荻中魂~9人の固い絆」

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中学で築かれた絆がいつまでも…。そして桜が大きくなり満開の花をつけるまで続くことを願ってやみません。

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3月1日(土)東松島市大曲地区の五十鈴神社・月浜地区

午前中は東松島市大曲地区の五十鈴神社。午後は月浜地区の高台移転地の桜植樹が行われました。

五十鈴神社

大曲地区の五十鈴神社は地元でとても大事にされている神社です。震災前は杉林に覆われていましたが津波で木々が一本もなくなり、五十鈴神社の再建をめざす五十鈴神社運営委員会からの依頼で今回の植樹が行われることになりました。スタッフが五十鈴神社に朝行ってみると運営委員会の皆さんはもうやる気満々。皆さんの今回の植樹にかける気持ちが感じられる中植樹が行われました。

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植樹後、運営委員会の皆さんからあらたにスキャンしプリントしなおした古い写真をいただきました(その古い写真は津波でやられた社務所に残っていたものだと思います)。その写真には「昭和27年10月26日竣工 本殿廊下・神殿屋根改造・天井修繕」と書かれていて、そこにたくさんの方が写っています。運営委員会の皆さんは年配の方が多かったのできっとお父様たちの世代なのでしょうね。皆さんの神社再建にかける熱い気持ちがそこでよく理解できたような気がしました。

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今回植樹した桜が見事に大きくなっても昔の五十鈴神社ではありません。
でも五十鈴神社の歴史は皆さんの熱い気持ちによって代々受け継がれていく。
これらの桜が五十鈴神社のあらたな歴史に組み込まれ、そして愛され続けられるようになってほしいと思いました。

この日の様子は3月5日発行の新聞「石巻かほく」掲載されました。

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東松島市の月浜地区

午後は東松島市の月浜地区へ。奥松島とも呼ばれている地区です。震災前は風光明媚な海水浴場がある地区でしたが、今は地元のほとんどの方は仮設住宅暮らしを余儀なくされています。

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今回桜を植樹することになったのは、その仮設住宅の方が移り住むことになる高台移転地の空き地。まだ高台移転地は造成工事中なので、そこに移転予定の住民さんの意見を聞き同意を得てから植樹が始まりました(日照の問題などあとで嫌なおもいをされる方が出ないようにです)。皆さん将来の町でいい花見ができるようとと熱心に作業されてました。
今回皆さんで植えた桜が月浜住民さんのあらたな生活を見守る温かい桜に育ってほしいと願っています。

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地域の歴史を守るため、将来のあらたな生活のためと両極端な植樹となりましたが、共通しているのは地域再生にかける住民さんの強いおもいと願い。
今回植えた桜とともに、被災地域の住民さんの生活も温かく優しく見守っていただければと思います。

3月2日(日)七ヶ浜町菖蒲田浜地区の諏訪神社・五社神社

宮城県七ヶ浜町菖蒲田浜地区の諏訪神社と五社神社の桜植樹を行いました。

菖蒲田浜地区の小高い丘に建つ諏訪神社は地元の方達には家内・海上安全、無病息災、大漁豊作などを祈願する氏神様として親しまれている神社。、昔から避難所としての機能も果たしていた海岸に近い五社神社もとても大切にされている神社です。この二つの神社は近くにあるため同日に行いました。

菖蒲田地区ではこの植樹にむけてチラシも作っており、たくさんの人がスコップを担いで諏訪神社に駆け付けてくれました。やはり地域で盛り上がってくれるととてもやりがいがありますね!そして皆さん植樹がとても上手で手際がいいことに驚きました。聞いてみると震災前も菖蒲田の町づくりとしていろいろ植樹経験がある方が多いそう。皆さんの地域への愛情を感じることができました。

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菖蒲田浜地区は津波で壊滅的な被害を受け、あらたな町つくりもまだまだこれからです。
でも今回の桜植樹会で見せていただいた皆さんの団結力や地域愛でこれからの諸問題を乗り越えていってほしいと願ってます。またさくら並木ネットワークとしても菖蒲田浜区長からこれから町つくりとしての植樹も依頼されています。二つの神社の植樹がその手始めということですね。

今回植えた桜の成長とともに。これからたくさんの苦労しなければならない菖蒲田浜地区の皆さんに寄り添った植樹活動ができればと思います。

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3月4日(火)農業法人仙台イーストカントリー

仙台市若林区神屋敷地区にある農業法人仙台イーストカントリーの敷地内に桜植樹を行いました。仙台イーストカントリーは仙台市内で最大規模の農業法人ですが、震災直後は津波で自慢の水田がガレキとヘドロに覆われ、農機具もほとんど流されてしまいました。
現在は立派に再建され多角的に農業をやっておられる農業法人です。

今回の植樹にボランティアとして参加してくれたのは熊本県の八代白百合学園高等学校の150人の生徒さんたち。仙台イーストカントリーの熊坂理事のあいさつと従業員さんたちの植樹が終わったあとに生徒さんたちの植樹開始。

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皆さんとても真剣に。でも高校生らしく明るく作業してくれました。仙台イーストカントリーが敷地内に桜植樹をしたいと考えたのは、大変な想いをした神屋敷の皆さんに明るくなってほしいと考えたからです。そういった意味では生徒さんたちの笑顔は仙台イーストカントリーの植樹には向いていたと思います。従業員さんや地域の方もニコニコと見ておりました。

昨日参加してくれた生徒さんのうち…。
将来今回植えた桜が大きくなって満開に咲いているとき見に来てくれる子がいてくれればと思います。

そのときはきっと桜に負けないくらいの満開の笑顔で仙台イーストカントリーの皆さんも迎えてくれるでしょう。そんな未来が思い浮かぶような笑顔が多い植樹会でした。

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3月8日(土)仙台市若林区種次中野地区

仙台湾にほど近い仙台市若林区種次中野地区の桜植樹。
植樹ボランティアとして作業を手伝っていただいたのは、西本願寺ボランティアセンターの5人のボランティアさん。ご協力ありがとうございました。

去年の11月にこの地区の北側にある堀沿いに16本植樹しましたが(今年の3月21日にさらに8本植えることになっており、これにより中野地区の北側の堀沿いには24本の長い桜並木ができることになります)、今日は現地再建をなさるもしくはなさる予定の方中心に19本の桜を植えていきました。

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若林区の災害危険区域ラインになっている県道10号線西側にあるこの地区は、2011年3月11日の津波によって甚大な被害にあい家族を亡くされた方も多い地区でもあります。
今回植樹した皆さんの多くも大変なおもいをして。でも故郷への愛情を忘れることができず現地再建をなさっている方がほとんどです。

皆さんが悲しみを乗り越えたというのには、もしかしたら早いかもしれません。でも確実に一歩ずつ未来に向かって進もうとしている中野地区の皆さん。家の改築がやっと済んで4月から中野地区に戻ってくる依頼者さんのお一人に「この桜はいい改築祝いになりますね」と声をかけたら満面の笑みを見せてくれたのが印象的でした。その笑みにはたくさんの強さと優しさが含まれていました。

今回植えた桜が中野地区の皆さんをずっと見守る優しい桜になってもらいたいと思います。そしてその桜の下にはたくさんの笑顔がありますようにと…。

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