すっかり、東京は春の陽気になりました。花水木が開花をはじめ藤やつつじがきれい。さくら並木ネットワークの事務局の近所では、大きなピンクのボタンが満開です。しかし、想いは東北に。

そんな中、さくら並木ネットワーク現地コーディネーターは、福島~岩手間を駆け巡り、桜の植樹や昨年植樹した桜の確認・メインテナンスを現地の方々と共に行っています。

現地の様子のお知らせが届いたので、4月9日から現在までをご報告いたします。

4月9日 気仙沼市本吉の天が沢の「伝承の桜」メンテナンス

昨年の3月11日。気仙沼に植樹した「伝承の桜」のメンテナンスの様子。
参照 活動報告・震災から1年桜植樹の記録

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4月9日は気仙沼市本吉の天が沢の集落の中心にある9本の桜の一部植え替え後の水遣り、及びこの地域の新規の植え込みエドヒガン桜3本を行いました。

植え込み直後の木が芽吹いた場合、根がほとんどない状態ですので木が大きければ尚更十分な水が必要になります。

本日は非常に暖かくこちらの地域のエドヒガン桜の開花も近いと思われます。

Gcウォッチのさくらチャリティプログラム・ムービーが公開

Gcウォッチ様では、コンセプトでもある“Smart Luxury”の一環として、津波到達地点へ桜を植樹する「さくらウォッチプログラム」を実施し、当「さくら並木プロジェクト」に桜ウォッチの売上の一部でご支援を頂いております。

Gcウォッチ様の取り組み、そして今年3月16日に行われたさくらの植樹のようすが、LUXURY TVで公開されました。

4月10日 南相馬・被害木5本の植え替え

南相馬

4月10日は南相馬で昨年の被害木5本の植え替えを行いました。

またかつての20キロ規制圏ぎりぎりにあった大甕小学校で去年の3月27日に植樹した5本の桜が開花しました。
この桜は昨年のこの日退任された平間校長が亡くなった生徒5人を想い校舎の入り口に5本の桜を植え石碑にメッセージを残したいと思いこれに答える形で横須賀の有志達が昨年3月11日に横須賀の街頭で寄付を集めてくださり実現しました。退任のその日には生徒達とともに5本の桜を植樹しました。

約一年後のこの日、桜は咲きました。

この桜を見ようと横須賀から5名の有志がおこしになり、平間さんと再会、その後南相馬の桜の名所をご案内いただきました。
寄付者と地元の当事者の交流が桜を介して生まれて行く事をうれしく思います。

南相馬は現在満開から散り始めの段階です。いよいよ桜前線は本格的に宮城に入ります。

南相馬市原町区下江井のさくら開花報告

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4月8日、岩手県山田町船越半島の植樹を行ってるとき、Grace Media 笠井さんは、福島第一原発の20km圏内にある南相馬市原町区下江井(しもえねい)に伺い、昨年植樹したさくらを確認。「桜が開花した」とご報告をくださいました。

このさくらの写真にどんなにどんなに感動し、想いを深くしたことでしょう。

以下 笠井さんより。
[box type=”shadow”] 「この桜は今年、一体何人の目にとまるのだろう…。」

1年の歳月をかけ、懸命に生き、ようやく訪れた、この一瞬の輝き。

写真は4月8日、福島第一原発の20km圏内にある南相馬市原町区下江井(しもえねい)で今年初めて花を咲かせた桜です。
この地区は原発事故から2年が経ちますがいまだに住民の居住が認められていません。

「津波の最高到達点に桜を― 」その想いを形にする活動を続けるNPO法人「さくら並木ネットワーク」さんに同行し、去年4月、立入禁止の警戒区域に指定されていたこの場所に入りました。その時、地元の方達と一緒に植えたちいさな桜の苗木。

あれから1年が過ぎ、警戒区域は解除されたもののいまだに住民が戻らない街で、植樹された桜の苗木は

四季を感じ、

干ばつや風雨に耐え、

この地に根付き、

そして小さくも可憐な花を咲かせました。

いずれ住民たちが戻るその日には、さらに大きく成長し、満開の花の下で足を止めた人たちが会話に花を咲かせる―

そんな瞬間が訪れることを心から願います。

暖かな春の光に包まれて、愛らしく佇むその姿には、
神々しささえも感じさせる
確かな“存在感”がありました。
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4月12日 亘理町と山元町

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4月12日は、3月末に植えられた亘理町と山元町の桜を視察してきました。

山元町の被災した浄正寺、吉田保育園、亘理町の荒浜小学校の三箇所。
植えられた桜はエドヒガン、ベニヤエオオシマ、神代曙、アーコレード。

地元の地質を知り尽くした山元町の佐山造園さんが、十分な土壌改良をした上で植樹していただきました。

写真は荒浜小学校。今年再会したばかりの校庭で植えられたばかりの桜が子供達が走り回るのを見つめていました。

13日土曜日 仙台宮城野区、若林区・14日岩手県宮古市姉吉・15日仙台宮城野区しらとり幼稚園で植樹が行われます。
今年の植樹も最終盤を迎えます。

4月13日 仙台市宮城野区蒲生地域の桜植樹

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4月13日は仙台市宮城野区蒲生地域の神社・神明社にて6本の桜を植樹しました。

この地域はほぼ全域で津波の浸水をうけ甚大な被害を受けました。
「えんの会」という自南蒲生の地域復興に向けた若い世代の集まり(会員は十数名)が平成24年9月発足。
二瓶さんを代表とするこの自治組織が今回の植樹を企画されました。

神社や祭りという存在は地域や伝統、人をつなぐ永続した存在として震災後もあり続けている。写真は植樹式で子供達が見せてくれた太鼓です。この地域でも纏まりも強くこの植樹を期に来年以降も我々のできる事で協力させて頂ければと思います。

今後本格化する地域のハード、ソフト両面の構築。一方で全国の関心はこの動きとは反比例していくと予想されます。是非今後もご自分の地域と照らし合わせ、関心を寄せて頂ければと思います。

4月14日 岩手県宮古市姉吉

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4月14日は岩手県宮古市姉吉で61本の植樹を行いました。

そのうちの一本は有名な「これより下に家を建てるべからず・・・」の先人の碑の道を挟んで正面に、ベニシダレ桜の樹齢推定10~15年の木を植樹しました。

この地域では先人の教えを守りここで亡くなった方はおられませんでしたが、隣の千鶏という地域などで4人の方が津波の犠牲になられました。そのうちの2人は子供という人口わずか40名強という地域にとっては痛恨の極みであったそうです。

そして震災後、2つの家族がやむを得ず姉吉を去り、姉吉は現在人口30名を切る所まで来ているそうです。

この日は自治会長木村民茂さんの呼びかけで、地域の老若男女がでそろい植樹を行いました。

「ここより下に家を建てるベラらずの桜だな」

といいながらの植樹でした。最後は先人の碑の前で集落の記念撮影。

かつては美しいキャンプ場と、本州最東端の魹ヶ崎へ続く秘境として訪れる方も多かったそうです。
全国でも最も高速道路へ遠い場所の一つだそうですが、それだけに姉吉を含める重茂半島にはそこまで行かないと見れない物も多いです。是非一度とびっきりの海と先人の碑を守り生きる人たちの地へ足を伸ばされてはいかがでしょうか。

最後にこの植樹式ではなくなった方と二度もほとんど全滅してしまった遠い先祖の霊を悼み黙祷が行われました。この黙祷には独特の力があるように思えます。それぞれがそれぞれのまぶたを閉じて念いを馳せますが、外からの植樹参加者も含めて不思議な一体感を生みます。

かつてこの地で亡くなった多くの命を、「先人の碑」を通してその中に気配を感じる事ができ、今日新たに”ここより下に家を建てるべからずの桜?”が植えられた瞬間に立ち会えた事に感謝します。

今は歴史の延長線にあると実感できずにはいられませんでした。